今日から、いよいよスコットランドめぐりに向かう私たちですが、実は夫は学生時代に来たことがあります。
「1人で来たの?」
「いや、男友達と2人。同じくレンタカーして、ネス湖の方まで行った」
「どうだった?」
「貧乏だったからね、車の中で野宿したりとかしたよ。エジンバラで買ったコーヒーにあたって、ゲロゲロになってトイレから出られなくなったり…
「でも、すごく楽しかったなあ。それに、景色がすごく綺麗でね。本当に感動したんだよ」
「湖水地方は?湖水地方も綺麗だったよ?」
「うん、そうなんだけど…湖水地方も本当に綺麗なんだけど…ボクはスコットランドの景色を観た時に、こんなに素晴らしい景色があったのかぁ!って思ったんだ」
「どこが違うの?」
「うーん…スコットランドの方が、景色が近い、のかな」
「それでね、いつだか友だちと、新婚旅行はどこに行きたいか?って話をした時に、ボクの妻になる人にはあのスコットランドの美しい景色を観せてあげたい、と思ったんだ」
「…」
「それがボクの夢だったんだよ」
男の人の方が女性よりうんとロマンチストなのかもしれない、そんな風に思えました。
ホテルはB&Bと違って朝食が付いていないので、朝はゆっくり寝てしまい、グラスゴーを出発できたのは11時…。かなり疲れがたまってきているようです。朝はひどく降っていた雨も、ホテルを出る時にはやんでいました。(とは言え、天気は良くないようです。)
「どうやって行くの?」
「景色の綺麗そうなとこを走って、行けたらインヴァネスまで行こう」
地図を見ると、湖がいくつかあり、そのまわりを道路が囲っています。かなりの距離がありそうですが、大丈夫なのかしら?
最初に見えた湖は、ロッホ・ローモンド(ロッホは湖の意味です)、ローモンド湖です。ここはスコットランド1大きい湖で、全長40キロ、三日月形をしています。イギリス1美しい湖と言われ、妖精が今も生きていると言われているそうです。
駐車場に車を止めて、外に出ました。小雨が降っていて少し寒いです。ツーリスト・インフォメーションがあったので中に入りました。
「日本人がいないねえ」
「車がないから、ここまで来れないんだよ」
なるほど。そういえば、バスも電車もここに来るには不便なようです。一瞬晴れた隙をついて(笑)、写真を撮りました。しかし実のところ、綺麗とは言っても湖、ずっと観ているのにも限界がありました。
また車で走り、ローモンド湖の端にある観光ポイントで一休み。そこには軽食スタンドがあったので、そこでバーガーとジュースを買って車の中で食べました。(時折、小雨が降ってました。)ちゃんと目の前で焼いてくれるので、スタンドとはいえ、なかなか美味しいです。後ろには発電所がありました。水力発電…なのかなあ?
いくつかの湖を横目に走り、いよいよ夫が最も感動したというスコットランドの景色、グレンコー(グレンは峡谷の意味です)へ向かいます。
天気は雨が降ったり、曇ったり、晴れたりの繰り返しでした。しかし車の中は暖かいので、私はついついうとうと…。綺麗な景色になると夫が起こしてくれる、というパターンが定着していました。
夫と旅行していて良い点1:車の助手席で寝ていても文句は言われない
私も起きていようとは思うんですけどね、気が付くと寝てるんですよ、これが(笑)
しかし車がどんどんと北上し、グレンコーに入る辺りから、景色はぐんと迫力が増してきました。夫の言っていた景色が近い、という意味が分かりました。今まで観た景色は、遠くにあって綺麗、という印象でしたが、ここは景色の中に入り込んで綺麗なのです。美しい景色の真ん中に道路がひかれ、そこを走っているという感じです。
「すごい、すごい、すごい綺麗!」
「だろ、だろ?これを見せたかったんだよ!」
夫はまるで自分のもののように得意げです(笑)
ところどころ見通しの良い観光スポットに車をとめましたが、雨が降っていてちょっと見通しが悪いところもあり、残念でした。多分、もう少し我慢してそこにいたら、晴れる時もあったのだと思いますが、ひどい時はかなりの雨です。
小雨の中、車を走らせていると、空気中に雨がカーテンのようになってキラキラするところがありました。
「見て、見て!あれ、すごく綺麗!!」
儚げな雨のカーテンはゆらゆらとして、しばらくして消えました。とても幻想的な景色でした。(車も全然いないし…。)
「あ、虹だよ」
空に虹が掛かってみえました。雨と晴れの繰り返しが多いせいか、こちらでは割と頻繁に虹を見ることが出来るのです。
「すご〜い、端から端までちゃんとある虹って、初めて見たよ」
こうして夫が見せたかったグレンコーが、私にとっても特別な場所になったのでした。
グレンコーを抜けた時は既に夕方で、今日はとても目的のインヴァネスまでたどり着けそうもないので、途中にあるフォート・ウィリアム(小さい街で、いわゆる観光スポットというようなものは一つもありません)で宿を取ることにしました。
フォート・ウィリアムに向かう途中で見付けたツーリスト・インフォメーションに、トイレを借りるがてら寄ったら、ちょうど閉めるところでした。時間は5時半。
しかし親切なお兄さんは私たちを中に入れてくれて、フォート・ウィリアムで宿を取りたい話をしたら、「フォート・ウィリアムのインフォメは6時まで空いているから、そちらで紹介してもらった方が良い」と言われました。ここから20分くらいというお話。お礼を言って、私たちは急ぎ車に飛び乗りました。
フォート・ウィリアムはリニ湖(私はずっと海だと思っていました)に面している街です。リニ湖を左手に何とか街に入り、駐車場に車をとめて、インフォメに入りました。すごい混雑です。

「エンスイート(バス・トイレ付きのこと)でホテルを」
「ツインですか?ダブルですか?」
「どっちが良い?」
どっちでもいいよ。
「じゃ、ダブルで」
紹介してもらったホテルは、何とインペリアルホテル!!でも値段は田舎のせいか、とても安かったし、普通のホテルでした(笑)
すぐにチェックインを済ませ、車を裏の駐車場に入れて、荷物を運ぼうとした時に、また雨が降ってきました。
「荷物はボクが持つから、行っていいよ」
「えー、重いのにぃ」
「いいから、いいから」
ホテルの中に入ってビックリ。何と、部屋は上の方なのに、エレベーターがありません。結局、夫がスーツケースとボストンバックを持って、はあはあしながら運びました。
夫と旅行していて良い点2:荷物を運んでもらえる。
部屋に着いた頃にはぐったり…ちょっと休憩。しかし早く寝たいので(疲れてるんですねー)、早くご飯を食べに行くことにしました。
ハンドバックを持って部屋を出ようとした時、夫がとんでもないことを言い出しました。
「あれ…車のキーがない」
ポケットじゃないの?と捜したがありません。まさか…。
どうやら荷物を運ぶのに夢中で、キーを付けたままにしてきたようです。慌てて階段を下り、駐車場に向かいました。そこには雨にうたれてドアが開け放たれている私たちのレンタカーがありました。
「きゃー。ドアまで開いてるよー」
荷物を運ぶのに夢中で、鍵をかけないどころか、ドアまで開けっ放しにしていたようです。盗まれるようなものは置いていなかったので、盗難はありませんでした。(車本体を持って行かれる…という恐れはありましたが、さすがにこんなに大胆に開けて遠くへ行くとは思わなかったかな。)
「良かったねえ」
「イスがびしゃびしゃ…」
運転席のドアが開いていたので、座席が濡れていました…あ〜あ。
気を取り直して、リニ湖の側に魚介類のお店があったので、そこへ向かいました。(車で5分ほど。)しかし、駐車場がいっぱいで車を止められません。湖水地方と違って路上駐車には厳しいので、簡単にそこらに止められないんですよねえ。
30分程ぐるぐるしましたが、止めるところが見付からないので、仕方なくホテルに戻りました。ホテルの側にもお店がたくさんあるので、歩いていけるお店に行くことにしたのです。やっぱり路駐しながらだと、気が気じゃないですから。
で、行ったお店がインドカレーの店(笑) 中華にするかカレーにするか悩んだのですが、近かったカレーにしました。
何度かイギリスでカレーを食べて思ったのですが、こちらのカレーは基本的に辛くはないようです。基本的にというか、標準は辛くない。ミディアムを頼むと甘いくらいです。今日食べて、それがよ〜く分かりました。次回は、ちゃんと頼めそうです。
お腹もいっぱいになったので、帰りに酒屋でジュースを買いました。夫はお風呂上がりに冷たいものを飲むのが楽しみなのです。
そしてお風呂上がり、悲劇は起こりました。ジュースの缶を開けて、ベットの横に置いた夫は、TVをつけようと立ち上がった瞬間。
「うわぁ、やばっ!」
缶が倒れ、スプライトのほとんどがベットの上に流れたのです。慌てて拭いたけど、もちろん手遅れ。ベットがびしょびしょになってしまいました。色が付かなかったのがせめてもの救い?
「ダブルが狭くなっちゃったよぉー」
がーん…そうか、私にもとばっちりが来るのか。しかし何で夫は毎回必ず、ダブルにするんでしょう、ツインのがのんびり寝られるのに。でも、今回に限ってはダブルで良かったです。シングルベットに2人はさすがにきついですからねー(笑)

