B&Bの朝食を食べるため、8時に起きてB1Fに行きました。そこはテーブルが3つしかない小さな部屋で、泊まっている人が入れ替わり立ち替わりして朝食を食べていました。
いるのは日本人のカップル1組と日本人の女性2人組…ここは日本人宿か。 そう、そうなんです。昨日「何で日本人が予約の電話を入れてくるのか?」と疑問に思って地球の歩き方を見たら、しっかりこのB&Bが載っていたのです。私たちは本に載っているのも知らずに、自らの足で捜したB&Bと信じてたんですねー。まあ、良いんですけど。
途中から私たちのテーブルには、白人女性が来ました。出てきたもの(目玉焼きとか、茹でトマトとか、ベーコンとか)をすべてトーストに乗せて食べるのには、ちょっとビックリ。こうやって食べるのがポピュラーなのかしら?
10時にチェックアウト。私たちは洗濯をしなければいけなかったので、荷物を置かせてもらえないか?と頼んでみたのですが、明るく
「ダメ、ダメ。チェックアウトは10時って言ったでしょ?」
と言われてしまいました。ケチ…。
仕方がないので、スーツケースをガラガラ転がしてコインランドリーへ。
中には、痩せた黒人女性と、ちょっと太めの白人女性(旅行者って感じでした)がいて、洗濯をしていました。私たちも、と洗濯機を見たら£1と20Pコインが2つ必要でした。
「細かいのないから、そこのセブンイレブンで買い物して崩してくるよ」
夫が出ていったので私は中で荷物番をしていました。すると、そこに太った白人女性が洗濯に来て(現地の人、しかも常連という感じでした)、洗濯機の中に山ほど洗濯物を入れて、奥にいた黒人女性から洗剤を買って入れました。どうやら、この黒人女性はここの管理人のようです。
「くずしてきたよ」
早速、今手にいれたばかりのコインを入れようとしましたが、何と1枚の20Pコインの大きさがあいません。これで洗濯機動くのかしら?
「それじゃダメよ」
黒人女性が覗きこんで言いました。
「新しい20Pコインは使えないの。全く、すぐ変えるんだから、困ったものよねえ」
「でも、これしかないんです」
困った私たちは、救いを求めて彼女に言いました。
「知らないわ。私の知ったことじゃないわ」
な、なんだ、このババア。私たちは客だぞ。
「私があるから、かえましょうか?」
さっきから座って乾燥機の終わるのを待っていた白人の女性が、声を掛けてくれました。「ありがとうございます!!」ようやく洗濯機を動かすことができました。管理人のババアは(オイオイ、呼び名が変わってるよ)、つまらなそうに外に出ていってしまいました。何なのよー、いったい。
「まあまあ、そこのイスにでも腰掛けて」
ムッとした私に気付いて、夫がそう言いました。ところが座ってすぐ、あのババアがコーヒーを持って帰ってきて、私の座っている横のテーブル(これがまた灰皿とかよれた雑誌とかで汚いのだ)に置くとこう言いました。
「私の場所よ、どきなさい」
すごすごとどく私。何かなあ…まあ、でもいつもここに座ってるんだろうしな。何か理由があって日本人が嫌いなのかも知れません。というのも、白人女性が終わって帰る時はにこやかに挨拶したくせに、後から来た日本人の女性2人組や私たちには全く無視なんですから。もう2度と来るかぁー!と思い、コインランドリーを後にした私でした。
またまたビクトリア・ステーションに荷物を預けに来た私たち。ガラガラと(道があんまり良くないので、マジでうるさかったりします)スーツケースを転がします。
天気が良くて、かなり暖かいのですが、ハナ水が止まらず相変わらずくしゃみ連発の私は、厚着でした。朝またクスリを飲んだのですが、余り効かないようです。一方で、夫はかなり良くなったみたいですが。
「風邪、よくならないねえ。病院行く?」
えー、海外で病院に行ったことなんてないよー、それにせっかくの新婚旅行でそれはないんじゃない。…と思いましたが、ふと成田で保険に入ったことを思い出しました。もしかして、治療費タダ?
夫が明日のレンタカーの予約を、ビクトリア・ステーション駅近くのハーツでしている間に、成田でもらった保険の説明冊子を熱心に読みました。
やはり治療費はタダです。 しかも、ロンドンには日本語でOKの病院がありました。せっかく高い保険料を払ったんだから、今のうちに治療を受けてクスリをもらった方が良いかもしれません。それに、1度くらい海外で病院に行くというのも良いかも…?
「病院、行こうかな」
「行く?だったら電話して予約しよう」
最初は英語で出られて驚きましたが、「日本語で良いですか?」と聞いたら、途端に日本語に。症状を話して、4時45分に予約を入れました。何となく、一安心。なんか、風邪も良くなったような…?。
まだお昼前だったので、今日はこれからロンドン観光をすることにしました。
と言っても、2人ともそこそこロンドン滞在経験があるので、既に観光地は行き尽くしていて、特に行きたいと思うところがありません。(セント・ポール大聖堂は大好きなんですが。)
「どこに行く?」
「んー、Momi博物館に行きたい」
通称Momi、映像メディアに関する映像博物館です。ここは1988年に開館したそうで、私がいた頃は出来たばかりでまだガイドブックに載っていず、行ったことがなかったのです。実は昨晩、しっかりチェックしておいたのでした。
「ん。良いよー」
地下鉄に乗って、最寄り駅のエンバークメント・ステーションに行きました。
しかし、駅からが遠い。なんと、博物館はテムズ河にかかるあの長いウォータールー橋を渡らないといけないのです。うう、騙されたぁ〜。まあウォータールー橋からの眺めは、なかなか良かったんですけどね。(映画「哀愁」の舞台になった橋です。)
博物館を見終わり、さすがにもうあの長い橋は渡りたくないので。、バスに乗ってオックスフォード・サーカスへ出ました。そこでお腹が空いたのでピザを食べて、次にナショナル・ギャラリーへ行きました。
お目当ての絵は数点だったのですが、以前来た時とは場所が違っていてどこにあるやらよく分かりません。あちこち動きまわって捜して見ている内に、病院に行かなくてはいけない時間になってしまいました。
次にどこかに行かなくてはいけないと思うと、ゆっくり鑑賞が出来ませんね。それがちょっと残念でした。
さて、ところで病院の場所がよく分からなかったりするんですが。ヘンドン・セントラルって…かなり外れかも??
「ヘンドンって、知ってる?」
「え、ヘンドン?そこって、ボクが留学してた時に住んでいたとこだよ」
何という偶然!
夫に連れられて、ノーザン・ラインに乗りヘンドン・セントラル駅に着きました。時間は4時40分過ぎ。予約の45分まで数分しかありません。
「おお、懐かしいぜ!」
「そんなのは後にして、病院!病院!」
しかしさすが元地元民?真っ直ぐ病院の場所に連れて行ってくれました。時間は50分になりそうな時間。ギリギリ、セーフか?。
中に入ると、すっかり日本の病院(ちょっと大きい町医者)という感じでした。ロビーにいた患者さんは2、3人。奥の受付で予約の旨を伝えると(日本人でした)、2枚の書類を手渡されて、呼ぶまでに記入して下さい、と言われました。
1枚は「どんな症状ですか?いつからですか?」といったいわゆる問診票。もう1枚は、保険の書類で、治療代はタダだよん、サインしてね、というものでした。(すべて日本語でOK)
イギリス滞在先の住所は不明なので(何しろ転々としていましたから)、そこだけ無記入にして出したら、
「前日のホテルでも良いから、部屋番号まで書いて下さい」
と言われ、再提出しました。 これがないとクスリを処方できない決まりなんだそうです。
しばらくして名前を呼ばれたので、診察室に行きました。夫はお留守番。中には、日本人の優しそうなお医者さん(歳は30半ばか?)が座っていました。
「どうしました?」
「飛行機の中が寒くて風邪をひいたのか、こちらに来てからくしゃみとハナ水が止まらなくて…」
「花粉症ですか?」
「いえ、違いますが…?」
「最近、多いんですよね。ロンドンで天気が良くなると、かなり空気が汚れているので、そういう症状になる人が。最近、とても天気の良い日が続いているでしょ?」
ほぉ、それは知らなかった。
「熱はありますか?」
「ないと思いますが」
と、ペタッとおでこにシールのようなものを貼られました。これで熱がはかれるのかな?不思議に思って聞いてみました。
「だいたいしか分からないんですけどね。じゃ、これくわえて」
微熱と出たのか、結局、体温計を口に入れられました。でも、熱はなし。
「喉もそんなに腫れてはいませんねえ…」
「御家族で病気をされた方いますか?」
「えーと、父親が糖尿病。母親は血圧が高くてクスリ飲んでます」
「最後に生理のあった日は?」
「7月が×日だったので、8月は×日ですね」
「何日周期ですか?」
「28日です」
おいおい、こんなことまで聞くのかい。
「妊娠の可能性は?」
「ありません」
「お酒飲みますか?煙草は?」
「飲まないし、吸いません」
「旦那さんは?」
「しません」
うーん、こんなことまで必要なのかしら?と思いましたが、しっかりカルテにそれぞれの質問の答えを書くところがあって、どうやら決まった質問みたいでした。
「観光ですか?」
「そうです」
「じゃあ、眠くなるクスリはイヤですよね?」
「はぁ…眠くなるんですか」
「イヤですよねえ。観光なんだから」
念のため昨日買って、昨晩と朝に飲んだクスリを見せました。
「これ、飲んでたんですけど」
「ああ、これねえ。これは、あなたの症状には効かないと思いますよ」
ガーン!そ、そうだったのか。
「では、1日1回で良い眠くならないクスリを出しておきますね。これで良くならなかったら、また来て下さい」
「はい」
と言ってはみたけれど、今日ロンドンを発ってしまうので、次にロンドンへ来るのは一週間先。もうこのお医者さんに会うこともないのだろうなあ…。
「終わったよん」
「早かったねえ」
処方箋をもらって、入り口近くの薬局カウンターへ。そこは、何故か英語でした。(日本人じゃなかった。)
クスリも貰って一安心。これで私の症状もぐんと良くなることでしょう。
「このへんに住んでいたの?」
クスリももらって安心して病院を出た私は、改めて夫に聞きました。
「うん、住んでいたのはバスでもう少し先のところなんだけど、学校がこの近くにあったんだ」
ここは夫が青春時代を過ごした街のようです。
「あそこにファースト・フードの店があって…そうそう、あそこ!よく行ったよぉ」
「懐かしい?学校、行ってみる?」
「え…いいよ。知っている人がいるワケじゃないし」
そう言いつつも、わき上がる当時の情景に「一緒に勉強してたヤツら、元気かなあ」などとお喋りが止まらない夫です。
「地下鉄を使っていたの?」
「いや、バス。ロンドンまで繋がってるバスで…そうだ、ロンドンまでバスで外を見ながら帰ろうか?」
「どこがバス停か覚えてる?」
「えーとね、あ、ここだよ、ここ!そうそう、懐かしいなあ」
すぐにバスが来たので、それに乗りました。
「ホームステイ先に行く?」
「いいよ。 バスから見えるし」
「じゃ、教えてね」
しばらくいくと鉄橋が見えました。
「あ、あそこ、あそこ。アドレス××の…」
アッと言う間にバスはそこを通り過ぎてしまいました。ロンドン近郊にはよくあるタイプの家で、花壇に花がいっぱい咲いていました。あそこに夫は住んでいたのね。
「まだ、(ホスト・ファミリーは)住んでいるの?」
「わかんないなあ」
しばし、当時の話を夫から聞きました。ご飯をどうしていたとか、どこそこにこんな店があるとか。
「まさか、またここへ戻ってくるとは思わなかったなあ…」
…。
「しかも結婚して、妻を連れて戻るとは…」
そうだね、結婚なんてまだ全然考えることすらなかった頃だもんね…。
やがてバスはロンドンのにぎやかな場所に入り、道が混んできました。途中でバスを降り、オックスフォード・サーカスから聖ポール大聖堂へ。しかし生憎、5時を過ぎていたので閉まった後でした。観たかったんだけどなあ…。
近くに日本書専門の本屋さんがあったので、夫はここでヨーロッパドライブの本を購入。これがまた、高かった。
「何で日本で買っておかないのよー」
「反省しました〜」
ああ、こういうところで無駄使いが…。
10時半のエジンバラ行きの夜行バスまではまだ時間があったので、ピカデリー・サーカスに行って中華街で中華料理を食べることにしました。
外に出ているメニューを見ながら、どこのお店にするか決めます。「何が言いかねえ」「あ、これは」
スープ、酢豚、野菜炒め、チャーハンがセットになったコースがありました。値段もまあまあ。ここに決めることにしました。
席に案内されメニューを渡されます。
「さっきのセットで良いよね?」
「うん。あと、パインジュースが飲みたい」
「え、飲み物、取る?」
どこに食べに行っても必ず飲み物をちゃんと頼む夫が、迷ったように言いました。
「飲まないの?」
「うーん…お金あんまりないからなあ…」
現金化して持ってきたお金は、思いのほか早くなくなり、4日目にして3分の1くらい遣っていました。2人だから遣うのも倍なんですが、その感覚がいまいちなく、急に不安になったのです。
結局、2人して飲み物のオーダーもしたのですが(支払いはカードにしましたし)、私は思わず言ってしまいました。
「学生の旅行じゃないんだから…」
「え…?」
確かに私も学生時代に海外を1人で旅行した時は、お金がなくて食事のかわりにスナック食べたり、安いテイクアウェイを捜したりしました。でも今は2人、しかも社会人です。良いレストランで食事したい、贅沢したいとは言いませんが、一般庶民が利用するレストランで、食べたいものをお金がないからと我慢するのはちょっと淋しい気がしたのです。
「でもさ、手持ちのお金がなくなるのが早くて」
「うん、私が思っていたのはさ、ホテル関係、移動関係と食事関係はカードで、現金は観光代やテイクアウェイの食事代…お小遣い程度に考えていたから」
「なるほど」
しばらく他の話をしながら食事していました(ここの酢豚は絶品!今まで食べた中で1番美味しかったです!)が、夫がぽつりと言いました。
「でもボク、フリーの貧乏旅行しか知らないんだよ」
…うん、私も贅沢旅行を知っているワケじゃないけどね。別に新婚旅行だからとか言うんじゃなくて…年齢的なモノもあって、学生の頃のような無茶も聞かなかったりするし…。
「…もう、学生じゃないんだね」
10時にビクトリア・ステーションに着き、30分後にはエジンバラ行きのバスに乗りました。明日の朝7時にはエジンバラに着く予定です。